金属加工メーカーS社 製造技術部
消耗が早く、コストがかさむ
SKD製アルミダイカスト用金型を何とかしてほしい!得意先からのリクエストに難なく応えられた、タングステン系材料の全容とは?
S社は、小型精密部品から車載部品向けまで、最新鋭のマシニングセンターや放電加工機などを駆使し、鉄鋼材料を軸としてあらゆる金型ニーズに対応し得意先から好評を得ていた。
課題
アルミダイカスト用金型にタングステンのようなアルミと反応しにくい材料を使ってほしい!得意先の要望には応えたいが…
製造技術部のリーダーH氏は、得意先の成形メーカーからの要望に応えるため、連日その対応に追われていました。従来のSKD製アルミダイカスト用金型の消耗が早く、コストがかさんでしまうことから、タングステン系の材料を使って金型を作ってみてほしいと懇願されていたのです。
その時の対応状況について、H氏は次のように語りました。
「実は、タングステン系の材料を使いたいという話は、今までにも複数の成形メーカーからありました。そこで一度、部内でもいくつかサンプル加工をしてみたのですが、とにかく硬くて加工がしづらい印象があります。これはかなり厳しい…、加工の担当者の中でも、あきらめの声が大半でした」
その中でも、特に担当者たちを悩ませたのは、アルミダイカスト用金型の独特で複雑な形状でした。その形状を加工するには、かなりの手間と時間を要することが容易に想定できたからです。
H氏は得意先からの懇願もあり、何とかこの課題に応えたいと情報収集を進めます。最新鋭のマシニングセンターもあるので、あとはタングステン系材料のような特徴をもち、かつ、加工がしやすい材料さえ見つかれば、解決の糸口が見えると考えていました。しかし、最適な材料や情報を見つけ出すことはできなかったのです。
課題のポイント
消耗が早く、コストがかさむSKD製の金型をタングステンのようなアルミと反応しにくい材料に変えてほしいと得意先から懇願された
過去にタングステンでサンプル金型を作ってみたが、その硬さから加工が難しく、特に複雑な加工については、手間と時間がかかり、加工担当者を悩ませた