自動車部品メーカーK社 生産技術部

銅製のモーターコイルと端子の溶接。
ところがタングステン電極で問題が山積…
タングステンのプロが作った独自の電極とは?

自動車関連の部品を幅広く製造しているK社。ハイブリッド車や電気自動車(EV)の需要が全世界で増え続ける中、モーターや電源周りなど電装部品の組み立てラインを増設して、増産に対応していた。

課題

銅製部品の溶接で電極に問題発生!消耗が激しく、最終的にはタクトを圧迫して…

K社生産技術部のリーダーM氏は、自社の溶接に関する問題で、対応に追われていました。K社では増産の続くEV用モーターコイルと端子(いずれも銅製)の抵抗溶接に、タングステン電極を用いていました。ところが、銅は抵抗が低く、かつ熱伝導率が高いため抵抗発熱を得られにくいという特徴があり、抵抗溶接には大電流が必要だったのです。

このような厳しい条件下での溶接において発生している問題について、M氏はこう振り返ります。
「一番の問題は、電極の消耗が激しいことですね。そのため電極寿命が短くなり、交換頻度が増えてコストがかかっていました。それだけではありません。電極の交換のたびにラインを停止することで、タクトタイムを圧迫してしまい、現場からも何とかならないかと、連日怒られていました」

タクトタイムを圧迫していたのは、交換時間だけではありませんでした。電極の冷却にも時間がかかってしまうため、作業に着手できない、待ちの状態が発生していたのです。

上司からも生産性を向上させるため、これらの問題を早急に解決するように指示を受けていたのですが、今まで直面したことがない課題に対応案は浮かばず、M氏は行き詰っていました。

課題のポイント

  • 電極の消耗が激しく、電極寿命が短くなり交換頻度が増えてコストが増加していた

  • 電極交換時のライン停止、ならびに電極冷却待ち状態の発生により、タクトタイムを圧迫していた

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