樹脂加工メーカーM社 製造技術部

増産体制を整えたいが、
スクリューエレメントの消耗が激しく機械の停止を誘発…
顧客の強いニーズから生まれた「耐摩耗材料」!その実力とは?

グラスファイバー(GF)やカーボンファイバー(CF)を添加した強化樹脂は、優れた強度に加え、軽量、耐熱、耐薬品性などに優れていることから、自動車をはじめエレクトロニクスなどの幅広い分野で、世界的に需要が高まっている。樹脂加工メーカーM社にも、これら樹脂関係のオーダーが多く舞い込んでおり、さらなる生産の効率化、製造スピードの短縮化を目指していた。

問題

スクリューエレメントの摩耗が原因で作業時間と品質に影響が…

増産体制を整えるため、生産技術部のメンバーは製造工程の検証を実施しました。その結果、材料を混練する工程で想定以上の工数がかかっていることが判明。さらに深堀して検証を続けると、この工程で使用する二軸押出機のバレルやスクリューエレメントの消耗が原因だと判明したのです。

製造技術部の班長F氏は、発生していた問題について次のように振り返ります。
「市場のニーズに合わせてGFの添加量が最近は増量傾向にあったのですが、それが原因でスクリューエレメントの消耗が早まっていました。そのため、交換やメンテナンスに伴い、頻繁に機械を停止させていたのです。また、摩耗したスクリューエレメントの金属粉がコンパウンド中に混入し、品質悪化に繋がるという新たな問題も浮き彫りになりました」

F氏たちはこれらの問題を解決するため、スクリューエレメントを硬くて強靭な超硬合金製に変更することを検討しました。ところが、超硬合金は高比重であることから、軸がたわむ事でスクリューエレメント同士の接触による破損や駆動装置への過負荷という別の問題やリスクが懸念され、超硬合金製の部品は少数しか搭載できませんでした。

部材摩耗による問題解決のためには、スクリューエレメント全体を硬質な材料に変更する必要があり、部分的に超硬合金を採用しただけでは解決には至りません。この一筋縄ではいかない状況にF氏は途方に暮れてしまいました。

問題のポイント

  • GF添加量の増加でスクリューエレメントの消耗が早まり、交換やメンテナンスが頻発

  • 摩耗したスクリューエレメントの金属粉がコンパウンド中に混入し、品質が悪化

  • スクリューエレメントを超硬合金製に変更するも高比重なため、軸のたわみによる破損リスクや駆動装置への過負荷という新たな問題が発生

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