ヘビーアロイ
ヘビーアロイ(HA)は、粉末冶金技術によりタングステンを合金化することによって、タングステンの特性を活かした様々な用途への応用を可能にした金属材料です
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金属加工メーカーS社 製造技術部
「ヘビーアロイ」は、アルミ溶湯に対する溶損量が1/100(SKD材料比)と耐溶損性に優れ、得意先のコスト削減にも寄与することができる
「ヘビーアロイ」は、タングステンを主成分にした焼結合金で、超硬切削工具による切削加工が可能
情報収集を続けていたH氏は、出入りの金属商社から日本タングステンのタングステン合金「ヘビーアロイ」のことを教えてもらい、早速問い合わせてみました。後日、H氏のもとを訪れた日本タングステンの担当者の話では、「ヘビーアロイ」はタングステンの特性を生かしつつ、加工がしづらいといった課題点をカバーした、日本タングステンならではの材料とのことでした。
「タングステン系の材料にも関わらず、超硬切削工具による切削加工が可能なため、種々な加工品として幅広く使用されていると聞きましたが、はじめのうちは納得できませんでした。ところが、「ヘビーアロイ」はタングステンを主成分にバインダー相をニッケル・銅・鉄等で構成した焼結合金だと聞き、消耗に強く、切削加工もできることが理解できました」(H氏)
「ヘビーアロイ」は、低熱膨張・高熱伝導・高温時の優れた機械特性を生かして、ダイカスト用金型部材や各種機械構造部品としても広く使用されていたのでした。
H氏は各種評価データとサンプルをもらい、「ヘビーアロイ」に切削加工を施してみました。加工のしやすさは説明通りで、「これがタングステン系材料か」と疑ってしまうほどです。これなら複雑な形状の加工も難なくできそうだと確信しました。また、消耗に関する評価も、アルミ溶湯に対する溶損量がSKDの1/100と優れていました。これならメンテナンス作業の減少と耐用年数が長くなるという点から、得意先のコスト削減も大いに期待できることがわかりました。
これらの評価結果をもとに、H氏は上層部に掛け合い、アルミダイカスト用金型の新たな材料として「ヘビーアロイ」の採用が決定しました。
実は、日本タングステンはタングステン系材料の加工技術も有していることから、H氏は加工面でもアドバイスをもらって作業を進めています。